ジョセフ・パヘス作:6コースギター(完全修復済み) 
スペイン 1790〜1810年頃

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ものすごくレア!貴重なギターです。
18世紀(以降の)のあらゆる撥弦楽器中、現存する数の最も少ないオリジナル6コースギター。
材料、作り共に素晴らしく、装飾なども美しく、コンデションも良い楽器です。

18世紀後半のヨーロッパでは、ギターというと通常は5コースの(バロック)ギターを指しました。
イギリスは例外で金属弦を持つ「イングリッシュ」ギターが大流行していました。

ペリー作のイングリッシュギター

スペインでは1770年頃から6コースのギターが現れ、1820年頃まで最も代表的なギターとして使われました。
名工パヘスを初めとする楽器が残されており、この楽器の為に作品を書いた作曲家としては、
フェレンディエレ、モレッティ、ボッケリーニ、そしてフェルディナンド・ソルを挙げることが出来ます。

オリジナルの6コースギターは現存する数が非常に少なく、またその中でも演奏に使用することの出来る状態の
楽器は大変珍しいものです。今回のはそのうちの1本です。

ラベルは喪われていますが、間違いなくカディスの名工ジョセフ・パヘスの作品だと思われます。


ジョセフ・パヘス作のギター二本、カディス、1800年頃

今回の楽器は19世紀初め頃に、黒檀の指板、ブリッジの木製のサドルの付加などの改修を受けているようです。

素晴らしい材料と工作精度です。
質の良いスプルースの表面板。


ロゼッタはパヘスのトレードマークとも言える象牙と黒檀の円形のモチーフです。
 

ハカランダの裏横板。漆黒と言っても良い最上質の材質です。裏横には装飾的なラインがあります。




セダーのネック。反りもなく良い状態です。弦長62センチ 


ハカランダが使われており、象牙の装飾もされているところから当時から高級品として作られたことが分ります。

もともとは表面板上の指板のない楽器だったと思われますが、現状では薄い黒檀の指板がつけられています。
おそらくは19世紀初めの改修かと思われます。
フレットと指板の状態も良好です。


ヘッドには6複弦用11個のペグがあります(最高音は単弦)。
スペインの6コースギターには12個のペグを持つ楽器が多いのですが、この楽器ももともとはそうであったのかもしれません。


オリジナルと思われるケースが付属しています。


 

流石に二百年以上前の楽器なだけあって、幾つかの修復の跡はあります。
現在のコンデションは大変良く、弦高なども適正なものです。

良く鳴る楽器です。音色は明るく、また低音は深く響きます。
現状の弦高はやや低めで、弾きやすく、全体のバランスも良いものです。

6コースギターは、「スペインを中心に数十年間(のみ)使用された楽器、レパートリーは限られている」
と考えられがちですが、実際は幅広い用途を持ち得ます。

イベリア半島では15世紀末から6コースのヴィウエラが隆盛を極めましたが、
6コースギターはこのヴィウエラの末裔と考えられており、実際、構造もある程度似ているとされます。
つまり6コースギターで、ムダーラ、ミラン、ナルヴァエスの作品を大きな齟齬なく演奏することも出来るのです。
また、6コースギターでコルベッタやド・ヴィゼ、サンスやムルシアなど5コースのギターの作品を弾くことも可能です。

6コース複弦ギターのオリジナルのレパートリーには、ボッケリーニ、フェランディエレ、ソル、パリで活躍していたカストロなど良質のものがあります。
19世紀に入り、6単弦ギターが使われるようになってからも、スペインでは6複弦ギターが主流であり
また、フランスでも6複弦ギターの愛好者は居りました。

また、18−19世紀に多く行なわれたように、楽器を改造することなく複弦を単弦に張り替えて、
通常の6弦ギターとして使うことも勿論可能です。

このように考えると、6コースギターは、ルネサンスのヴィウエラ音楽、17.8世紀のバロックギター音楽、
18世紀の6コース複弦ギターの音楽、そして19世紀の古典、ロマン派のレパートリーに使用することのできる夢の万能楽器のようにすら思えてきます。

私自身、実際に6コースギターのみで16世紀から19世紀初頭までのレパートリーをカバーする
リサイタルを行なったことがありますが、結果は自分としては満足のいくものでした。

バロックとしても、また古典ギターとしても使用できる希有なオリジナルのギター!
このように状態の良いオリジナル6コースが出るのは大変稀です。
古いギターとその音楽に真摯に興味を抱いている方に使っていただければと思います。

APPENDIX 「6コースギターとその音楽について」

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