クラヴィコード(イギリス、1980年頃)
価格28万円 お問い合わせ


小型のクラヴィコードです。
全ての鍵盤にそれぞれ弦が張られている専用弦(アンフレッテド)モデルですが、小型軽量に作られています。

クラヴィコードは中世から18世紀末まで愛好された鍵盤楽器。
弦を爪(プレクトラ)ではじくチェンバロと異なり、タンジェントで弦を叩いて発音、
音量の増減とアーティキュレーションが自在でヴィブラートも可能です。
もっとも音楽的な鍵盤楽器と言われ、オルガン奏者の訓練にも用いられ、エマヌエル・バッハなどはクラヴィコードに大きな賛辞を寄せています。


クラヴィコードは19世紀初めには流行から外れましたが、20世紀初頭、イギリスのアーノルド・ドルメッチらにより復興が試みられました。


ドルメッチのクラヴィコード、演奏する鍵盤楽器研究家レイモンド・ラッセル

20世紀中庸以降、クラヴィコードはイギリスの家庭楽器として流行します。
必ずしも歴史的ではなくとも、調弦の簡便さ、サイズと重量の軽減などに工夫が凝らされたクラヴィコードも製作され、
1960年台から80年台、古楽演奏の台頭と期を一にしてクラヴィコードは愛奏されることになります。

今回の楽器もその時期に家庭楽器として作られた1台です。
専用弦にも関わらず全長106センチ、奥行き26センチという小型化を実現しています。

音域は4オクターブと一音、ツゲの白鍵と黒檀の黒鍵を持ちます。


古いクラヴィコードは表面板に損傷があるのものが多く見られますが、この楽器は健康です。


現状ではA-415に調律されていますが、半音程度の上下は可能でしょう。

私もよく似た仕様の小型クラヴィコードをロンドンにスタジオに所有しておりますが、調律に時間がかからず、
音量が低く、タッチに敏感、ヴィブラートなどで歌わせることのできるクラヴィコードは実に楽しいものです。

透明プラスチックのカバーが付属します。日本での試奏が可能です。

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