イングリッシュ・フラジオレット (イギリス 19世紀)
無銘1キイ、無銘6キイ、プラウス作6キイ(価格5万円ー8万円)
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イングリッシュ・フラジオレットはリコーダーなどと同じくブロック式の木管楽器。
演奏と持ち運びが容易、吹奏感は快適、表現力も大きく、17世紀から20世紀初頭にかけて愛奏されました。

フラジオレットには大きく分けてフランス式とイギリス式があります。

フランス式はサムホール2つおよび4孔を持ち多くはF管。
イギリス式はトラヴェルソなどと同じく6孔でD管です。

17世紀にはフランス式が大変流行し、日記で有名なサミュエル・ピープスもフラジオレットに夢中だと書いており、
また現在リコーダーのレパ−トリーになっている「小鳥愛好家の楽しみ」も本来はフラジオレットの為の曲集でした。


18世紀末から、フルートと同じ運指が使えるイギリス式が盛んに使われるようになり、
特に19世紀のイギリスとドイツでは大流行しました。


イングリッシュ・フラジオレットの長いビーク(吹き口)と大きなキャップは息の流れを整合し、
音色をまろやかに、音程と強弱のコントロールを容易にします。
その意味ではリコーダーよりもトラヴェルソに吹奏感は似ています。
運指も似ており、トラヴェルソを演奏する人にとってはイギリス式のフラジオレットは親しみやすい楽器です。


フラジオレットは、コンサート用の楽器というよりも家庭楽器として主に用いられました。
18世紀にはノスやカヒュ−ザック、マルタン・ロット、19世紀にはルイ・ロットやゴドフロアら名工による楽器も残されています。

フラジオレットとチャカン。右から:
フレンチ・フラジョレット(マルタン、パリ、18世紀後半)
イングリッシュ・フラジオレット(ロンドン、19世紀初頭)
イングリッシュ・フラジオレット(メツラー、ロンドン、19世紀中庸)
イングリッシュ・フラジオレット(ルイ・ロット、パリ、19世紀後半)
ミュンヘン式チャカン(ドイツ、19世紀後半)
ヴィエナ(ウィーン式)チャカン(ウィーン、19世紀後半)


多くのフラジオレット教本と曲集が出版されましたが、楽曲の多くは当時流行した声楽曲のアレンジなどで、
その意味では16世紀におけるリュート、18世紀におけるイングリッシュギターといったドメスティックな楽器の一つと言えます。
現代人は、全ての楽器にはその特定のレパートリーがある筈!とを考えがちですが、
実際は19世紀までは全ての楽器は臨機応変、声楽曲や他楽器の為の作品を弾いたり、
また即興演奏に用いられることが多かったのです。
ヴァイオリン、フルート、オーボエあるいはフラジオレットといった指定の作品集も多いですね。


ドビュッシーの後継者とも言われるあのオウベール・ルーセルも小品を書いています。

参考:IMSLPのフラジオレットの楽譜
http://imslp.org/wiki/Category:Scores_featuring_the_flageolet



多くのオリジナル・フラジオレットが残されていますが、発音機構のエッジが欠けていたり、キイが壊れていたりで、
演奏可能な楽器はむしろ稀です。今回は3本はいずれも状態、吹奏感共に良好です。
経年で劣化するパッドは全て交換されており、紛失/破損しやすいビークにはいずれも再生されたものが装着されています。

無銘1キー 譲渡済み
黒染めされた柘植の本体にジャーマンシルバーのフィッティング。ピッチ:440前後。



無銘6キー 価格6万5千円
ローズウッドの本体にジャーマンシルバーのフィッティング。ピッチ440前後


イングリッシュ・フラジオレット独特のハスキーな音色です。表現力の大きな楽器。


プラウス作6キー、ロンドン、19世紀中葉 譲渡済み
プラウスは19世紀ロンドンの木管楽器製作者で、主にフルートとフラジオレットの製作で成功。
特徴としては、しっかりした作り、使用感と鳴りの良さなどが挙げられます。
今回の楽器も例外ではなく、流石にプラウスの作です。


ローズウッドの本体にジャーマンシルバーのフィッティング。


軽快に鳴る楽器で、高音も楽に出ます。

19世紀中庸のイギリスのコンサートピッチであったA=452のD管として作られていますが、
頭部管に装備されたチューニングスライドを操作して、A−415のE管もしくはE♭管、あるいはAー440のD管あるいはE♭管として使用できます。
(まあフラジオレットは伝統的に、リュートなどと同様にコンサート楽器というよりも、
奏者が自分の為に演奏する楽器だったようですから、あまりピッチに拘るのはナンセンスなのかもしれません)

フラジオレットとそのレパートリーに関しては↓のサイトが詳しいです。
http://www.webring.org/l/rd?ring=thetinwhistleweb;id=9;url=http%3A%2F%2Fwww%2Eflageolets%2Ecom%2F
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