ルネサンス(4コース)ギター
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大変出来の良い4コース・ルネサンス・ギターです。
作者はロンドンののハドック。大変研究熱心なメーカーの様で、今回の楽器からもそれは伺えます。

ルネサンスギターは、4コース複弦を持つ小型〜中型のギターで、おそらく15世紀末ー16世紀初頭にスペインで誕生したと思われます。


黄金時代は16世紀中庸で、スペインのムダラ、フランスのル・ロワ、ギィヨーム・モレイユなどにより曲集が出版されました。
それらには数多くのソロ曲およびギター伴奏歌曲が収められています。

モレイユの曲集の表紙


ル・ロワのギター曲集の1ページ

4コースギターの技巧は平易と言えますが、作品の音楽的水準は大変高いものです。
リュートをやりたいけど難しそう・・・と思われる方にもお勧めできます。
実際、私自身、生まれて初めて取り組んだ古楽器はルネサンスギターでした。

16世紀の4コースギターは残念ながら残されておらず、図像を基に復元されるのが普通です。
今回のギターは↑のモレイユの曲集の表紙の楽器をモデルにしています。

4コースギターを現代では「ルネサンス」ギターと呼ぶことが多いのですが、
16−18世紀には「キタリーノ」(小型ギターの意)、「イタリア風」もしくは「ナポリ風」ギターと呼ばれ、18世紀の末頃まで使用されていました。
17世紀以降は特にアンサンブルに多く用いられており、作品も残されています。
実際、4コースギターはその小型のボディや少ないコース数にも関わらず、非常に有効なアンサンブル楽器です。
    
17〜18世紀の4コースギター:左から
スミット作、デレプランク作、ル・ジェーヌ作

さて、今回の4コースギターは良い材料を使い、緻密なクラフツマンシップで作られています。

ルネサンスギターというと、しばしばチェリーやシープレスなど安価な材料を用い、
デザインも吟味されておらず、工作精度や音も抜きんでいるとは言えない安価な楽器をしばしば目にしますが、
この楽器はそういったものとは全く異なる本気の4コース・ルネサンス・ギターです。

上質のスプルースの表面板。ブリッジはおそらくペア(梨)ですね。


木とパーチメント(羊皮紙)のロゼッタには金泥が塗られています。
 

ペアーの指板。大変美しいギターです。


メープルのとペアーの裏横板。美しい材料です。


ヘッドとネックもメープルですね。一体感のある裏面です。


ペアーのペグは可愛いハート型です。


弦長は46センチ。
従来、ルネサンスギターというと弦長55センチくらいで作られることが多かったのですが、
そのサイズにガット弦を張って第1コースをAに上げることは難しく、また残されている作品には左手の拡張が要求されるものも多いことから
実際はより小型の楽器がむしろ多かったのではないかと言われてきました。
今回の楽器はガットを張ってA=415および440は勿論、ルネサンス音楽の演奏に使われることの多いA=466にも問題なく調弦出来ます。,
ソロにもアンサンブルにも用いやすい弦長で、特に左手は非常に快適です。

イギリスのプロ音楽家が所有していた楽器ですが、大切にされており新品同様の状態です。
出展に当たってはロンドンの古楽工房でチェックし、弦高の調整、フレット巻き替え、弦の交換など行ないましたので、
安心して使えるギターになっています。
現状ではニューナイルガットとガットで張ってあります。

大変弾きやすい楽器で軽く弾いても、暖かな音でよく鳴ります。
ルネサンスギターらしい、シンプルでありながらふくよかな響きです。
プンテアードとラスゲアードのバランスも良く、サイズも手頃で、ルネサンスギターの一つの典型と言えるでしょう。

この楽器の様に、歴史的な情報に基づき専門家により手抜き無しに製作されたルネサンスギターは見ても弾いても気持ちが良いですね。
これから古楽器を始める人は勿論、経験者にもお勧めできます。

木製ケース付き。
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