解答!蝶々型のマンドリン

19世紀末の製作と思われるマンドリン。
ラベルやブランドマークは見当たりませんが、木工のスタイルからしてヴィクトリア時代のイギリス製のように思われます
象嵌が施された楽器の場合、製作精度がそう高くない場合がまま見られますが、この楽器は非常に良くできています。
胴体に用いられているウォールナットとバーズアイメープルは非常に美しいもので、
アバロンによる象嵌もとても丁寧に仕上げられています。

オブジェとしても興味深いものですが、楽器としての機能も良く考えられていて、
蝶々の翅と胴体にあたる表面板は目の詰まったスプルース、
胴体は翅の部分まで空洞で、楽器として十分な音響空間を確保しています。

楽器の保持も、左翅がぴったりと膝にフィットし、なかなか快適です。

どこの誰が、設計し製作した楽器か、正確には分かりませんが、
いずれにしても優れたルーティエによるものでしょう。

惜しむらくは、いつの時代か、新しい指板が装着されていて、これがややフレット音痴。
今回、英国の専門家に本格的にレストアに出して、是非、本来の音色を聞いてみたいと思っています・・・


付記:その後の調査で、指板/フレット共にオリジナルで、
単に当方がブリッジ位置を勘違いしていたことが分かりました!
楽器さん、ごめんなさい・・・




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