19世紀・オリジナルバンジョー(ガット弦、フレットレス)
イギリス、19世紀後半
価格12万円
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バンジョーというと、現代ではディキシーランドやジャズなどポップスの楽器のイメージが強いのですが、
19世紀のイギリスではギターやヴァイオリンと同じ様に汎用楽器、クラシカル楽器として使われており、
1860年頃から多くの教本と曲集が出版されました。

ギター製作で知られたパノルモもバンジョー教本と曲集を出版しています。



19世紀後半〜20世紀初めのイギリスには、金属弦、ガット弦、フレットあり、フレットなし、弦数には4弦、5弦、6弦、7弦の各種、
またサイズにもいろいろありました。
下、左から7弦フレットレスガット仕様、5弦金属弦、4弦小型ガット仕様(バンジョレレ)



今回の楽器は19世紀のイギリスで最も愛奏されたガット仕様、フレットレスの7弦バンジョーです。
長年、イギリスのコレクターが所有していた楽器で、胴体の皮の破れやネック反りもなく、非常に良いコンデションであると言えます。
この時代のバンジョー教本には「バンジョーはギターよりも優れた音色を持ち、上手な弾き手にかかるとハープにも似た音がする」
とありますが、実際、モダンの楽器と全く別と言える鳴り方で、クラシカルな楽器としての位置づけにも納得がいきます。



様々な調弦が使われましたが、もっとも広く用いられたのは開放弦を長調のコードにするやり方で、
これは18世紀のイングリッシュギターとほぼ同じと言って良く、実際イングリッシュギターの調弦を踏襲したという説もあります。


また、アマチュア音楽家に膾炙したこと、クラシカルな曲、民謡、流行の旋律の膨大なレパートリーが有り、歌の伴奏に多く使われたことなど、
この二つの楽器には共通項が多く、いわば18世紀後半のイングリッシュギターの位置を、ちょうど百年後にバンジョーが占めたとも言えます。
特に今回の楽器は主要6弦が長調のコードに調弦されており、イングリッシュギターと全く同じ運指が使えます。



流行しただけあって、多くの楽器が残されていますが、コレクターが多いことと、
また胴体に皮が張られていることもあって、良い状態の19世紀の楽器を見つけるのは、なかなか難しいものです。
今回の楽器は、残されているバンジョーの中でも古い部類に属しますが、コンデションは良く、
また真珠母貝のポジションマークやボーンの糸巻きなど見どころも多い楽器です。
19世紀のイギリス/アメリカ音楽に興味を持つ方には希有な機会と言えましょう。





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