デイヴィッド・ホセ・ルビオ作:モダン・リュート (P.S.マーク)
英国 1970年製作
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素晴らしい材料とクラフツマンシップで作られた9コースのモダン・リュートです!

9コースのリュートは現代においてはあまり馴染みがないかもしれませんが、
特にダウランド時代のイギリスで非常に愛好されました。
ダウランドの出版された全てのリュート曲と室内楽「ラクリメあるいは7つの涙」は9コース用に書かれていますし、
ダウランドの全作品中、約1/3は9コースのためです。

ラベルはあの伝説の名工デイヴィッド・ホセ・ルビオ
このリュートにはルビオのラベルの下に小さな[P.S.]のラベルが貼られており、
ルビオのデザイン/監修の元に、ルビオ工房で職人であったPhillip Smart(フィリップ・スマート)が製作し、
ルビオが仕上げ、検品を行った楽器であることを示しています。

ルビオ工房に居た職人には、他にもポール・フィッシャー、カズオ・サトー、エドワード・B.ジョーンズなどが知られていますが、
フィリップ・スマートはもっとも初期から働いていた人で、その仕事の丁寧さでは抜きんでた存在であったといいます。


ルビオのモダンリュートは、ギター/リュート奏者であったジュリアン・ブリームとの共同作業によってデザインされました。

ジュリアン・ブリームは早くから古楽に興味を示し、リュートを弾いていました。
ギタリストで爪を使っていたブリームは、いわゆるヒストリカルな楽器はかなり遅くまで使っておらず、
彼の使っていた楽器は金属フレット、サドル付きのブリッジを装備した「モダン・リュート」でした。

実際、私自身よく思うのですが、モダンギター奏者がリュートやバロックギターなど古楽器を取り上げる場合、
その奏法の違いから、歴史的な楽器ではかえって中途半端になってしまう場合が多いのです。

テンションが弱い複弦を、ギター向きの長い爪、強いアタックに慣れた指で弾きこなすのは非常に難しく、
かなりうまく行っている場合でも、音楽が要求する表現力の域にまで達することはまあ稀です。

その意味では、このようなモダンリュートはギタリストにとって非常に有益ではないかと思います。
なによりもジュリアン・ブリームの幾多の名演がそれを証明しています。

ブリームの最初のリュートはイギリスのチェンバロ製作者ゴフがリュートギターから改造した7コースの楽器でした。


ブリームはゴフ製作のリュートをルネサンス、バロック共に数本持っており、
特にルネサンスリュートはコンサートやレコーディングに大いに使っています。
ゴフのリュートを使った演奏は↓の動画にて試聴することができます。

ジョージ・マルコムとのヴィヴァルディ
http://www.youtube.com/watch?v=EcIfKp7rubQ

ストラヴィンスキーにダウランドを聴かせる
http://www.youtube.com/watch?v=t4f8fej9Sqo&feature=related

ホルボーンのパヴァーヌとガリアルド
http://www.youtube.com/watch?v=0qJOcJER0vE

1960年代後半、ブリームとルビオは運命的とも言える出会いをなし、
ルビオはブリームのためにギターとリュートを製作しました。
ブリームはルビオ作の8コース・リュートを長年愛用し、幾多のコンサート、名録音を行いました。



ルビオのリュートを使った動画は↓で視聴できます。

ヴィヴァルディのリュート・コンチェルト
http://www.youtube.com/watch?v=qyY5pB2a0cU

ダウランドのパイパー大尉のガリアルド
http://www.youtube.com/watch?v=Y4jvmh_Giaw&feature=related

ダウランドのリュート曲集
http://www.youtube.com/watch?v=SBcsRlp_3ts&feature=related

ブリームが長年愛用したルビオの楽器は現在アメリカのコレクターの所有となっています。

ブリームの使用楽器:ルビオ作8コース・モダン・リュート(1967年作)

このように聞き比べるとゴフとルビオの楽器は個性がだいぶ違いますね・・・興味深いものです。


さて、今回の出展楽器はブリームの使用楽器とほぼ同じスペックを持っています。

最上の材料が全てに渡って用いられています。
素晴らしい材質のスプルースの表面板。ハカランダのブリッジ。


ハカランダとイチイのの裏板、黒檀の指板。ネックには裏板と同じ材料のストライプがあります。


ローズウッドのペグには象牙の装飾があります。


工作精度も高く、仕上げも美しく、まるでリュートの形をした宝石のようです。

この楽器は現代ギター誌にて写真付きで紹介されています。


モダン・リュートというとしばしば歴史的なリュートの知識のないギター製作家によって作られたものが多いのですが、
ルビオは歴史的な構造のリュートのみならず、バロックヴァイオリンやバロックチェロ、チェンバロなど真正の古楽器も多く製作しており、
現在でも高い評価を受けています。

ルビオのリュートたち
手前から:モダンリュート(68年)、モダンリュート(出展楽器)、ヒストリカル・リュート(76年)


イギリスの蒐集家が大切に所蔵していたリュートで、状態は最上。
割れや修理跡などほとんど見あたりません。

ルビオならではの、つややかでおおらかな美しい音色で大変良く鳴ります。
高音の伸び、バランスや和音のとけ込み具合も良く、流石ルビオの楽器です。

ギタリストでリュート音楽に惹かれている方、ジュリアン・ブリームのファンの方などに勧めたい楽器です。
ハードケース付き。
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