アーリーマンドリンX2
その1 ナポリ風マンドリン:フランス、19世紀前半ー中頃
価格23万円→20万円 日本で試奏できます。
その2 4弦マンドーラ/クレモナ風マンドリン:クリストファー・アレン作(イギリス)
価格未定
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現在ではマンドリンというと金属弦4複弦のナポリタンマンドリン主流ですが、
このタイプの楽器は18世紀の半ばに発明されたもので、それ以前にはガット弦の楽器が使われていました。
マンドリンの直接の先祖に当たる楽器は中世に用いられていたギターン(クイテルーナ)です。
いわば小さなリュートの一つと言え、もともとは彫り抜きのボディを持っていました。
単弦と複弦の両方がありました。
17世紀初頭にはプレクトラムで弾かれることもありましたが、バロック時代には指で弾く楽器でした。
コース数は4コースから6コース、幾つかの調弦が使われています。
ヴィヴァルディの良く知られたマンドリン作品もこのタイプの楽器のために書かれています。
18世紀の半ばに、調弦はまるで違い、金属弦を用い、ピックで弾かれる楽器が出現します。
これが「ナポリタン」マンドリンです。
ナポリタンマンドリンの出現後も様々なタイプのマンドリンが使われ現在に至っています。
↓はエンベルガーのサイトから様々なマンドリンたち。
左から:6コースマンドリーノ、4コースナポリタン、4単弦マンドーラ(クレモネーゼ)
4弦マンドーラ/クレモナ風マンドリン:クリストファー・アレン作(イギリス、20年)
アレンはウェールズの古楽器製作者でリュート、ハーディガーディおよびアーリーマンドリンの製作で知られています。
非常に良質のメーカーで、僕も彼の7コースリュートを使っていました。
最近ではハーディガーディの製作で多忙を極めており、リュートとマンドリンは製作しなくなってしまいました(残念)。
このマンドリンは、イギリスのプロ演奏家が特注し使用していた楽器です。
4単弦のマンドリンは17世紀初頭の多くの史料に見られます。そのころはピックと指どちらでも弾かれたようです。
GDGDのようなオープン調弦が多く使われました。
18世紀の後半、このタイプの楽器はクレモナで流行したようで、、その際にはナポリタンマンドリンと同じ調弦も使われました。
現在では「クレモナ風マンドリン」とも呼ぶことがあります。ピックと指頭どちらも使われたようです。
フンメルのマンドリン作品はこのタイプの楽器が念頭にあったという説もあります。
現代のマンドリン奏者にも馴染みやすい楽器と言えるでしょう。
クレモナ風マンドリンに関する論文
今回の楽器はニュルンベルクの博物館にあるオリジナルの誠実なレプリカです。
スプルースの表面板。パーチメントと木材のロゼッタ。
ウォールナットの裏板。非常に美しく作られています。
ネックとヘッドにも一体感があります。
美しいだけでなく、非常に弾きやすい楽器です。
ナポリ風マンドリンを弾かれる方で、ガット弦の古楽器を弾いてみたいと思われる方にはまさにうってつけの楽器です。
木製ケースが付属しています。
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ナポリ風マンドリン(フランス、19世紀前半)
このタイプの楽器は1740年代にナポリに成立し、18世紀を通じてヨーロッパ中に大流行しました。
著名な作曲家としては、ウィーンのモーツァルト、フンメル、ベートーヴェンなどがマンドリンのために作品を書いていますが、
フランスではレオーネ、フォルケッティ、デニなどにより重要な教本と曲集が出版されました。
フランスの教本に見られる曲は現在ではあまり知られていませんが、通奏低音付きのソナタやデュエット、
技巧的な変奏曲など大変価値の高いものです。
レオ-ネのマンドリン教本/曲集へのリンク
https://imslp.org/wiki/M%C3%A9thode_raisonn%C3%A9e_pour_passer_du_Violon_%C3%A0_la_Mandoline_(Leone%2C_Gabriele)
フランスでは当初は楽器はイタリアから輸入していたと思われますが、
すぐにパリやミルクールで良質の楽器が製作されるようになりました。
今回の楽器は表面板上に薄い指板が載っていることから、19世紀前半ー中頃に製作されたと思われます。
無銘で、古典マンドリン特徴をよくとどめており、当時の優れたフランスのマンドリン製作の良い見本と言えます。
スプルースの表面板、スケロップされたメープルの裏板。
古典時代のマンドリンは市場に出ることは非常に稀です。
今回の楽器は完全に修復されており、すぐに演奏に使うことが出来ます。
音色の甘美さ、余韻と音量との豊かさにだれもが感心するでしょう。
古い楽器によるマンドリン演奏はまだあまり盛んとは言えませんが、
ヨーロッパでは若手の優秀な専門家も出てきています。
日本は欧米にもマンドリン王国として知られていますが、
私の知る限りこの時代のマンドリン音楽の専門家はまだいらっしゃらないようです。
是非心ある奏者の方に、この様な楽器を使って当時のレパートリーを開拓していただきたく思います。
補遺:先頃出版された『フランスのマンドリン』に同仕様の楽器が掲載されています。
19世紀のミルクールのマンドリン。
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