ニコラス・パイラル作19世紀ギター(シュタウファー/マーチン・レプリカ)、イギリス、2010年
39万5千円(英国からの送料込み)


非常に良く作られたレプリカ19世紀ギターです。
ゲオルグ・シュタウファーの開発したレニャーニモデル。

ゲオルグ.シュタウファーおよび息子のアントン・.シュタウファーはウィーンで活躍した弦楽器製作者で、
19世紀の弦楽器製作に大きな足跡を残しました。

名ギタリスト、ジュリアーニや作曲家シューベルトもシュタウファーのギターを愛奏していました。
現在でもシュタウファーの人気は高く、私も使っています。
日本のリュート奏者つのだたかしさんもシュタウファーのギターを使われていますね。

シュタウファーはもともとイタリアのファブリカトーレ派の影響を強く受けたデザインの楽器を製作し、
その後、ギタリストのレニャーニと共同開発した仕様のギター「レニャーニ・モデル」を開発しました。

2台のシュタウファー
左:アントン・シュタウファーのレニャーニモデルのテルツ(1840年頃)
右:ゲオルグ・シュタウファー(1815年頃)


どちらのタイプともに素晴らしいギターですが、現代ではイタリアン・モデルは古楽器を良くする奏者に、
レニャーニモデルはモダンギター奏者に人気があるようにも思います。

シュタウファーの弟子にはリース、ブッヘルなどが居りますが、
そのうちの一人マーティンがアメリカにわたって成功したのは良く知られています。
マーティンも当初はシュタウファー開発のレニャーニモデルを製作していました。
(↓は現存する最古のマーティン、1834年)


今回の楽器はこのレニャーニモデルの誠実なレプリカです。
製作者はシュタウファー/マーティンギターの世界的権威、ニック・パイラル博士。
パイラル博士はシュタウファーとマーティンの論文で博士号(PhD)を取得した
研究者であり製作家である稀有な存在です。

バイラル氏の博士論文『シュタウファーのギターと北米における影響」(pdf)

試奏動画 https://x.com/guitarouk/status/1845215366898909425 


全体の寸法その他はエジンバラのあるシュタウファー(ウィーン、1829年)
がベースになっています。(ブリッジは後世に替えられている)


スプルースの表面板。ロゼッタは真珠貝です。



メープルの裏横板。


ネックとヘッドはエボナイズされています。



特筆すべきは時計の鍵を使った弦高調節機構も忠実に再現されていることです。


非常に便利な機構で、奏者の好みや気候によって弦高を一瞬にして変更できます。

ヘッドもシュタウファー/マーチン独特のS字型。

弦長は標準の61センチ。

レニャーニモデル独特の暖かさと力強さを兼ね備えた鳴り方です。
ジュリアーニ、シューベルト、ディアベッリの作品にはうってつけの楽器。
作りと状態は良く、弦高は可変、価格はリーズナブル、
19世紀ギターの初心者はもちろん、プロにもお勧めできます。


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