エルネスト・コレスケニー作:クラシックギター(1952年作)
クロアチア/ドイツ
 
価格30万円


コレスケニーはクロアチア出身、東ドイツで活躍したギター製作者です。
ハウザー一世やワイスガーバーなどと同系統の製作家です。

寡作と言える製作家でそれほど多くの楽器が残されてるわけではありませんが、
その材質の良さ、確かな工作精度、高い品格、透明で美しい音色は高く評価されています。

今回の楽器は通常のクラシックギターではありますが、弦高調節機構とトルナボスを備えた大変稀有な楽器です。
経年変化のための亀裂跡などはありますが修理されており、すぐに演奏に使うことが出来ます。

サイズなどは以下の通りです。(cm)
全長:95
ボディ長:49
弦長:65
ナット長:5.0

スプルースの表面板。まさに「ドイツ松」と呼びたいクオリティの高い材料です。
こういった材料、もう現代では見ることも少なくなりましたね。


ロゼッタは繊細。響孔にはトルナボスがあります。


トルナボスはトーレスやハウザーなどのギターもつけられていた一種の音響装置で、
特に低音特性を高め、全体の響きをまろやかにします。
タレガの弾いてたトーレス、リュベートが注文したハウザー一世のギターもトルナボスがつけられていました。


トーレスの「レオナ」のレプリカにつけられたトルナボス。


ハウザー一世がリュベートのために製作したトルナボス付ギター

また、このギターはネックが取り外しできる構造になっており、専用のスクリュードライバーで弦高が調整できます。


非常に便利な機構です。
例えばソロを弾く際には低め、アンサンブルには高めにしたりすることが出来ますし、
季節によって起こる弦高の微妙な変化にも対応できます。
 

裏横はハカランダでしょうか。経年変化によると思われる亀裂があります。いずれも修理済みです。


マホガニーのネックとヘッド。


ハカランダ張りのヘッド。糸巻きはこの当時の東側によくみられるシングルで、骨/象牙のつまみを持っています。
ワイスガーバーなどにも使われている機種で、使用に問題はありませんが、より上級のものに換装することも考えられるでしょう。


全体にやや軽めの楽器で、トルナボスのおかげか、全体に品良く繊細に鳴る楽器です。
バランスも良く、まさにクラシックギターの一つの理想ではないかと思います。

愛好家はもちろん、プロでも十分使用できるクオリティながら、今回の価格は非常にリーズナブルです。
(画像のケースは参考品です)

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