アダム・エルナンデス作:バンドゥーリャ
バレンシア 1893年
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ギターと並んで「スペインの楽器」として知られるバンドーリャですが、
その起源は古く16世紀の文献にはその存在が確認されています。
もともとは3もしくは4コースであったようです。

18世紀中庸のミングェイの音楽教本には5コースのバンドゥーリャの項があり、楽曲はタブラチュアと5線譜で記されています。
 
ミングェイの教本より


18−19世紀のバンドゥーリャ
              
1770−1800年頃にバンドゥーリャは6コースを持つようになりました。
この頃の楽器にはガット弦が使われていましたが、
19世紀中頃には金属弦もしばしば用いられるようになりました。
それに伴い、マンドリン/シターン式の弦アタッチメントと
機械式糸巻きの採用も行われるようになったのですね。

ギターの名製作家の手になるバンドゥーリャも残されています。

イーホ・デ・ゴンザレス作:ギター式のブリッジ、ペグ仕様


ロレンテ作:ブリッジと機械式糸巻きに注目(ただしこの楽器はもともとはペグ仕様)


巨匠トーレスの作品:6単弦、ギター式ブリッジ、機械式糸巻き仕様
(ただしこの楽器は後世に沢山の改修を受けている)

現在スタンダードとされる調弦は、高音からラ ミ シ ファ♯ ド♯ ソ♯ですが、
実際には奏者によって様々な調弦が使われました。
例えば高音からソ レ ラ ミ シ ソ もしくはソ レ ラ ファ ド ソ のようなマンドリーノ/ルネサンスリュート系のもの。
また6弦ギターのオクターブ上(ミ シ ソ レ ラ ミ)を使った人もいるようです。
上のトーレスの楽器のように単弦仕様も見られることから、
複弦の楽器でも単弦にして使った奏者も居るのでしょう。
バンドゥーリャのために書かれた芸術作品としては、ホアキン・トゥリーナのものが有名です。

というわけで・・・

今回のこの楽器は、バレンシアの製作家アダム・エルナンデスの作品。
1893年の製作です。
もっともクラシカルな、ギター式ブリッジ、木製糸巻き仕様の楽器です。
この仕様の楽器には金属弦よりもガット(ナイロン)弦の方がおそらく使いやすいでしょう。

スプルース表面板、マホガニーの裏横。
バンドゥーリャはもともとが民族楽器であるため、
つくりの荒いものや、土産物として作られたものも多いのですが、
この楽器はそういったものとは一線を画する本気のバンドゥーリャです。

多少の割れの修理、ニスの剥がれなどはありますが、状態は良く、
すぐに演奏できます。現状ではガットとナイロンで張られています。

小さなボディですが、甘い音色で大変良く響きます。



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