英国製リュート(名工による歴史的モデル二台)
デイヴィッド・ルビオ(KSスタンプ) 1974年 価格65万円
トレヴァー・センプル 1975年  価格42万円
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イギリスにおける歴史的リュート製作は他の国よりも早く、1970年代にはオリジナルに誠実なコピーがすでに製作されていました。
リュートなど弦楽器は、作られてから数十年たつと木材の経年変化によって音色が豊かになることは良く知られています。
(イギリスのリュート製作家マイケル・ロウ氏によると「リュートは製作後30年で弾き心地と音色がはっきりと向上する」そうです)
作られてから約半世紀になろうとするリュートたちは、その材料と作りの良さと合わせて素晴らしい楽器となっています。
今回もそのような貴重な楽器、しかも世界的名工二人による名器です。

デイヴィッド・ルビオ作8コース、1974年


ルビオはギター、チェンバロ、ヴァイオリン、チェロなどあらゆる(古)楽器を手掛け、現在でもそれらは垂涎の的となっています。

製作者を記念するホームページ

彼の工房は1970年頃にジュリアン・ブリームやフレドリック・ノードのためなどに上質のリュートを複数製作しています。
今回の楽器もそのような一台で、材質、工作精度、鳴り方などまさに最高級と言えるでしょう。
ルビオのラベルと自筆サインをもつ楽器で、スタンプはKS。
ルビオの片腕であったカズオ・サトー氏が実際の製作を担当したことが分かります。
最新の研究によれば、ルビオのラベルを持つ上質のリュートはそのほとんどがカズオ・サト―氏の手になることが分かっています。



絹のように細かな木目の表面板。ロゼッタも美しく彫られています。



メープル9枚の裏板。


弦長は648ミリ。ソロにもアンサンブルにも向いたサイズです。
現状ではA415 のFに調弦してあります(モダンピッチのE).



ルビオ特有の甘い音色、繊細さと線の太さを併せ持つ楽器です。




トレヴァー・センプル作8コース(1975年)

トレヴァー・センプルは現役のギターの名工として知られています。

製作者のホームページ 

彼のリュートは初めて見ましたが、やや粗削りながら鳴り方も弾き心地も素晴らしいの一言です。
今回出品に当たっては、ロンドンの古楽器工房で大掛かりなオーバーホールと各部の調整を行いました。

ハーゼの飛ぶ上質の表面板。


リュート用材として定評のあるホワイト・アッシュ13枚の裏板。ダイナミックな美しさです。


弦長68.5センチ。大き目のリュートですが、ダウランドの時代にはこれくらいが標準の一つでした。


現状では415ヘルツのEに調弦してあります。
長い弦長のためもあり、ストレスなく豊かに鳴ってくれる楽器です。
音色の良さも特筆すべきで、やはり天才弦楽器製作者の作品です。


この楽器の特徴の一つとして、第1コースも複弦で張れることが挙げられます。
現代の多くのリュートは第1コース単弦が多いのですが、ダウランド時代にはむしろ複弦がスタンダードでした。





付記:使用弦について
1970年代にはすでにガット弦も使われ始めていましたが、それらは高音ー中音域で低音弦はまだ研究途上でした。
従って、そのころの歴史的リュートは巻弦が張られることが前提に作られています。
巻き弦の欠点は鳴りすぎ、余韻が長すぎることですが、70年代の良質の歴史的リュートはその欠点をうまくコントロールして作られています。
ですので、今回の2台の楽器にはその特徴を尊重して、巻き弦の中ではガットに近い鳴り方をする低テンションの銅巻き弦を張ってあります。
結果はとても良く、弾き心地、音色ともに(私のようなガット信奉者にも)大きな違和感の無い仕上がりです。
ガット弦に興味ある方には弦についてのアドヴァイスを差し上げます。
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