ベン・チャップマン作:ルネサンス・4コース・ギター
イギリス 2016年(新作) 
価格29万円
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大変出来の良い4コース・ルネサンス・ギターです。
製作者は名門ロンドン・カレッジ・オブ・ファーニチャーの古楽器製作科で学んだチャップマンで、ことにアーリーギター族を得意としています。
彼の楽器はこれまでにも本サイトでも数本扱いました。
弾き心地や音の傾向としては彼の師マルコム・プライヤーに大層似ています


ルネサンスギターは、4コース複弦を持つ小型〜中型のギターで、おそらく15世紀末ー16世紀初頭にスペインで誕生したと思われます。


黄金時代は16世紀中庸で、スペインのムダラ、フランスのル・ロワ、ギィヨーム・モレイユなどにより曲集が出版されました。
それらには数多くのソロ曲およびギター伴奏歌曲が収められています。

モレイユの曲集の表紙


ル・ロワのギター曲集の1ページ

4コースギターの技巧は平易と言えますが、作品の音楽的水準は大変高いものです。
リュートをやりたいけど難しそう・・・と思われる方にもお勧めできます。
実際、私自身、生まれて初めて取り組んだ古楽器はルネサンスギターでした。

16世紀の4コースギターは残念ながら残されておらず、図像を基に復元されるのが普通です。

4コースギターを現代では「ルネサンス」ギターと呼ぶことが多いのですが、
16−18世紀には「キタリーノ」(小型ギターの意)、「イタリア風」もしくは「ナポリ風」ギターと呼ばれ、18世紀の末頃まで使用されていました。
ルネサンスギター(上)とバロックギター(下)

17世紀以降は特にアンサンブルに多く用いられており、作品も残されています。
実際、4コースギターはその小型のボディや少ないコース数にも関わらず、非常に有効なアンサンブル楽器です。
    
17〜18世紀の4コースギター:左から
スミット作、デレプランク作、ル・ジェーヌ作

今回の4コースギターは良い材料を使い、緻密なクラフツマンシップで作られています。

ルネサンスギターというと、しばしばチェリーやシープレスなど安価な材料を用い、
デザインも吟味されておらず、工作精度や音も抜きんでいるとは言えない安価な楽器をしばしば目にしますが、
この楽器はそういったものとは全く異なる本気の4コース・ルネサンス・ギターです。

上質のスプルースの表面板。ブリッジはおそらくエボニーでしょうか。


メープルとパーチメント(羊皮紙)のロゼッタ。


エボニーの指板。大変美しいギターです。


メープルの裏横板。美しい木目の材料で、黒檀の装飾的ライニングがあります。



ヘッドとネックもメープルですね。一体感のある裏面です。


ヘッドも雰囲気のある造形、ペグは黒染めされたブナです。


弦長は53センチ。
従来、ルネサンスギターというと弦長55センチくらいで作られることが多かったのですが、
そのサイズにガット弦を張って第1コースをAに上げることは難しく、また残されている作品には左手の拡張が要求されるものも多いことから
実際はより小型の楽器がむしろ多かったのではないかと言われてきました。
今回の楽器はガットを張ってA=415および440は勿論、ルネサンス音楽の演奏に使われることの多いA=466にも調弦出来ます。,
ソロにもアンサンブルにも用いやすい弦長ですね。

出展に当たってはロンドンの古楽工房でチェックし、弦高の調整、フレット巻き替え、弦の交換など行ないました。
現状ではニューナイルガットで張り、第3,第4コースにオクターブ調弦を施してあります。

大変弾きやすい楽器で軽く弾いても、暖かな音でよく鳴ります。
ルネサンスギターらしい、シンプルでありながらふくよかな響きです。
プンテアードとラスゲアードのバランスも良く、サイズも手頃で、ルネサンスギターの一つの典型と言えるでしょう。

この楽器の様に、歴史的な情報に基づき専門家により手抜き無しに製作されたルネサンスギターは見ても弾いても気持ちが良いですね。
これから古楽器を始める人は勿論、経験者にもお勧めできます。



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