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楽器のページ


*オリジナル楽器コレクション
私は17−19世紀に作られたオリジナル楽器に大きな興味を持っており、
自分のステージでもできうる限りそれらを使用するようにしています。
このコーナーではそれらオールドの楽器を紹介しています。
竹内の所有/演奏するオリジナル楽器を見る


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*私が演奏/教授する楽器の解説
リュートの仲間

左から
中世のリュート:日本の琵琶の様にプレクトラムで弾きます。13ー15世紀の中世音楽に。
ルネサンス・リュート:最も典型的な16世紀のリュート。ダウランド、フランチェスコ、アテニャン等の名曲のレパートリーがあります。
アーチ・リュートとテオルボ(キタローネ):バロック時代(17ー8世紀)の大型のリュートで、主にアンサンブルに用います。
バロック・リュート:ルネサンスより少し弦の多いバロック時代のリュート。バッハ、ヴァイス、ゴーティエなどの名曲が書かれています。

ギターの仲間
右から
ルネサンス・ギター:16世紀に用いられた4コースの小型ギター。ソロは勿論、歌曲などアンサンブルにも多く用いられました。
バロック・ギター:16世紀末から18世紀末にかけて用いられたギター。ルイ14世、チャールズ2世、王妃マリーアントワネットなど、当時の王侯貴族にもギターは流行していたのです。
複弦5コースで、調弦は現代のギターとほぼ同じです。
ド・ヴィゼ、サンス、コルベッタ、ムルシア等の作曲家が多くの作品を書いています。
19世紀ギター:19世紀前半に用いられたギター。6単弦で、調弦は現代のギターと全く同じ。
ソル、ジュリアーニ、シューベルト、カルリ、ウェーバーなどがこのタイプの楽器を用いていました。
現代のクラシックギター:19世紀の終わりから用いられはじめたタイプです。クラシック音楽のみならず、ジャズやポップスに用いられることもあります。

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楽器の入手を考えている人に
クラシックギターおよびリュートなど古楽器は、比較的入手しやすい楽器です。クラシックギターだと100ー200ポンド(2ー4万円)前後から、リュートの場合は800ポンド(15万円)ぐらいから初心者用の新品の楽器は入手出来ます。

ただ、音色や弾きやすさ、そしてそれによって与えられる音楽の喜びを考えると、あまり安すぎる楽器は避けたほうが良いのも事実です。

特にリュートやバロックギターなど古楽器では、初心者用としてもお勧めできないものが最近ネットを中心に売られているのが目立ちます。ここで具体名を挙げるのは避けますが、イギリスの大手の古楽器店がパキスタンなどで作らせているリュート、「スチューデントモデル」の名で大幅な手抜きを行っている製作家、旧東ヨーロッパで製作している何人かの個人メーカーの楽器などは、価格的にはかなり安いのですが、まあ「悪いことは言いませんからやめた方が良いです」と言わざるを得ません・・・

これまでにもそのような楽器は何台か見ましたが、多くの場合楽器のセッティングが悪く、こちらがまず示唆することは、弦高や弦幅などの調整のために専門製作家を訪ねることからです。運が良いと調整によって音は出るようになりますが、古楽器本来の美しい音には遠く、歴史的奏法は使えず、結局は近いうちに生徒さんがやる気をなくすか、楽器を買い換えることになります。無理にその楽器を使い続けても早い上達は望めません・・・
こういった楽器は、すでに中古市場にも多く出回っているため、買い換えに際しての下取りや売却も簡単ではなく、結局は無駄なお金を使ってしまったことになります。

以上のことは、「お金が無いけどとりあえず古楽器をやってみたい!」と切望している人には、なかなか理解して頂けないかもしれません。しかし古楽器を弾くということは、非常に沢山のことを楽器自体から教えてもらうことだということをここでは強調しておきたいと思います。良くない楽器を使っていては、たとえ歴史的教則本をすべて読破したとしても、実際にはナンセンスです。
世の中には古楽器の製作を天職と心得、少しでも良い楽器を製作しようと日夜努力している製作家/専門家が少なからず居ます。そのような人たちの作品を手にするとき、はじめて「古楽器を弾く」喜び、本来の美しい音、古の奏法などがリアリティを持って感じられるのです。
また、そういった製作家に敬意を払い、彼らの楽器を使っていかないと、世の中は二流三流の楽器が満ち溢れ、いずれ良い楽器製作家は世の中には一人も居なくなってしまうでしょう・・・

そして、そのようなことを考えるとき、現代の良いコピー楽器の価格はそう高価なものではありません。人気のある製作家に新作をオーダーした場合は数ヶ月ー数年の待ち時間が必要ですが、案外短くて済む場合もあります。また幸いなことに、そういった良い製作家の楽器が中古で入手出来ることも多いのです。中古楽器は、品質の割に値段がリーズナブルなものが多く、うまく探せればお奨めです。

最初からできるだけ良い楽器を入手しましょう!

「・・・初心者のうちから良い楽器を持つべきである。
良い楽器はその姿と音で、弾く喜びと学ぶ勇気を与えてくれる。
悪い楽器は学ぶものの魂を押さえつけてしまう・・・」(トーマス・ロビンソン 1603)

「初心者も良い楽器を持つべきである。悪い楽器は学習者の意欲を失わせ、
ついには楽器から離れさせてしまうのである。」(トーマス・メイス 1676)


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私のロンドンの教室と東京のスタジオには、ほとんど常にリュート、バロックギター、19世紀ギター(オリジナル)、クラシックギターを新しい生徒さんの為に在庫しています。ご希望の方には、ヨーロッパの製作家の紹介も致します。
(探し物:譲る求むへ行く)

楽器の入手を考えていらっしゃる方は、ご遠慮なくご相談下さい。


わが愛器: 
竹内太郎 古楽器/ギター教室の生徒さんの楽器紹介コーナー


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*楽器コラム 「リュートとギターの仲間」
(音楽の友社刊「古楽演奏の現在」に執筆した私の文章です)
一口にリュート及びギターといっても、その用いられた時代、地域によって実に様々な種類がある。次にそれを非常に簡単にではあるが説明してみよう。

いわゆる有棹撥弦楽器は、中世に東方からヨーロッパにもたらされた。その時代およびルートについては様々な説があるがここでは深くは触れない。いずれにしてもリュートおよびギター(中世においてはギターンと呼ばれた)は13世紀には既にヨーロッパに定着していたようだ。双方とも中世にはいわゆる洋梨型のボディを持っていた。特にギターンはその胴体全体が一木からの彫りぬきで、その構造は日本の琵琶などと非常に近い。リュートも当初は彫りぬきの構造であった節も見られるが、少なくとも14世紀には張り合わせの構造が一般的となった。どちらの楽器とも通常プレクトラム(ばち)で弾かれていたらしい。

16世紀に入りリュートはまず6コース(通常複弦なのでコースと呼ぶ)の楽器として確立し、その後徐々に弦を増やし、18世紀においては13コースにまで達した。テオルボ(別名キタローネ)は16世紀末の有名な幕間劇のために考案された大型リュートの1種で、現存しているこの楽器の多くは非常に大きなボディと89/160センチという長い弦長をもっているが、大劇場におけるオペラの伴奏や、独立した低音楽器としても使用されていたことを考えれば納得がいく。テオルボと非常に似た外観を持つ楽器にアーチリュートがあるが、その標準弦長は67/150センチであり、調弦および音楽的使用法は全く異なる。テオルボは非常に力強い低音を持つが、そのサイズのために小回りがきかない。アーチリュートはその音量自体はテオルボに劣るが、非常に複雑な和声でも熟練した奏者にとっては演奏可能である。

時代別、地域別に言うと、テオルボは独奏および通奏低音楽器として16世紀末から17世紀前半にかけてヨーロッパ全域で用いられ、その頃アーチリュートは小型のもの(リウト・アッティオルバートとも呼ばれる)が主に独奏楽器としてイタリアで使われていた。その後18世紀にかけては大型のアーチリュートがテオルボに代わって通奏低音楽器として用いられるようになる。

一方、ギターは16世紀には既に現代のギターのような胴のくびれた形の楽器が定着していた。しかし、リュートにおけるような劇的なコース数の増加はなく、それはギターにおいては常にラスゲアード(現代のフラメンコ奏者が行なうような掻き鳴らし奏法)が行なわれていたことと深く関係している。16世紀に4コースを持っていたギターは、17、8世紀には5コースが標準となり、19世紀に入って(現在見られるような)6単弦の楽器へと落ち着くわけである。

中世、ルネサンスそしてバロック時代を通じて、リュートおよびギターは、独奏楽器としては勿論のこと、アンサンブル楽器として大変重要な役割を担ってきた。それはその音色、音量の多彩さが他のどの和声楽器よりも優れているとされていたからである。現代における古楽器復興が始まって久しいが、まだまだ我々の持っている知識、演奏技巧は小さなものである。これからも一層の研究およびそれを生かした演奏がなされるべきであろう。

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